RNAi 技術の商品化
長い道のりでした。経静脈で使える世界初の RNAi 医薬品です。RNAi 医薬品としての世界初は、眼球に直接注射するCMV感染症治療薬でしたが、経静脈で使える医薬品としては世界初です。全身に使える意義は計り知れないです(米国Genzyme社が米国で販売承認申請を2012年3月29日、米国食品医薬品局に提出したらしいです)。
といっても欧米での話しなので、日本ではいつ頃になるのかわからないのですが、、、
で、この経静脈で使える RNAi 医薬品、その適応が、またまた、非常に興味深いのです。
医薬品として失敗したとしても、医療界にコンセンサスの変更を余儀なくしてくれるはずです(RNAi がわからない人は、自分で調べて下さいね)。
どういうことかというと、米国での適応は、FH ホモの患者のコレステロール低下です。アポBの生産を抑制します。要するに、アポB mRNA に対しての翻訳を阻害するわけです。スプライシングの抑制かもしれないけど。。。
完璧です。血中のLDL-コレステロールを下げる事に関しては・・・・。
基本的に FH ホモの患者さんにもスタチン系は使うみたいです。ほとんど下がらないらしいです。でも予後は、コレステロール値が下がらない割には、差は出ている・・・と。
しかし、今度の薬は、LDL-コレステロールを下げる事だけは、完璧です。
この薬により、FH ホモの患者さんの予後が、著しく改善されるのであれば・・・(数が少ないので、実体はよくわかっていないらしいが、欧米では、FH ホモの患者は30歳までに心臓発作で死亡するとされている)、そう、普通の人と、なんら、変わりなく生活できるのであれば、心血管系へのコレステロールの影響が証明されるという事になる。
しかし、LDL-コレステロールが下がったけれど、予後はあまり変わりないということになれば、血中のLDL-コレステロール値は、まったく、原因ではなかったという事になる。
そして、スタチン系は、コレステロール低下作用が“効いて”いたわけじゃなく、“その他の作用”が効いていたとの証明にもなる。(“pleiotropic effect”でググれば出てくるよ)
コレステロールの“善玉・悪玉”説が、完全に払拭される事になるのです。
もし、そうなったら・・・・・、楽しみです。そして、コレステロール神話にすがっていた人たちの“いいわけ”を期待してます。どんな“詭弁”を弄するのか、いまから、ワクワクします。
あっ、でも、FH ホモの患者の予後が劇的に改善されることを望んでいる事は、間違いないですよ!!私が嫌いなのは、大して意味のないことや無益な事を、さも、有益かのごとく装い、施し、善人面している人たちですから。(善人面が無知による結果であっても)
以上は、業界の人向けの“薮にらみ”かなぁ~?ここからは、一般の人向けのよた話。
食物繊維と聞いて、漠然とイメージする事は、、、
体に (・∀・)イイ・・・・・
だよねぇ。でも、そうでもないんだよって言われたら、どう思うだろうか?
普通の人は、ただ、「へぇ~、そうなんだぁ」って感じかな?
でも、積極的に「体にいいです。積極的に摂取してください」なんて言ってた人たちにとっては、「へぇ~、そうなんだぁ」で済む話じゃないだろうね。いろいろとイイワケを考えなきゃならないから?
ちょっと、面白いから、引用しときましょ。
No. 12-0405-02食物繊維と憩室症
Dietary Fiber and Diverticulosis
2012 April 05
確固としたエビデンスではないが、定説では、高繊維食は憩室症を予防するとされている。この説を検討するためにデザインされた横断的研究で、結腸鏡検査(主としてルーティンのスクリーニング)を受けた成人2,100人を対象に、詳細な食物摂取頻度調査票による調査が行われた。対象者は、前年の「普段の食事」を反映する回答をするよう求められた。繊維摂取の最高四分位群の摂取量は、最低四分位群の3倍高かった。
結腸鏡検査により対象者の42%に憩室症が認められた。補正後の解析では、高い繊維摂取は憩室症の有病率がより低いことと関連していなかった。それどころか、憩室症の有病率は、もっとも繊維摂取が高い群でもっとも高かった。繊維の種類(水溶性、不溶性、穀類由来、果物や野菜由来)のいずれも、憩室症の有病率が低いことと関連していなかった。排便頻度は食物繊維摂取量と関連していなかった。患者による便秘の報告は、憩室症の有病率と関連していなかった。コメント:以上の結果は、高繊維摂取が憩室症を予防するという思い込みに異議を唱えるものである。この研究の明らかな限界は、現時点で回答された繊維摂取は長期間の食習慣を正確に反映していない可能性を否定できないことである。著者らは、成人の食事が長期にわたって劇的に変わることはないことを示唆する研究を引用して、この懸念に応えている。今回の研究は、確かにこの問題に対する最終的な解答ではないが、結果は、高繊維食を忠実に守っていたにもかかわらず、憩室症または憩室炎がみつかり不信をあらわす患者に対して、安心させるような説明を与えている。
- Allan S. Brett, MD
Published in Journal Watch General Medicine April 5, 2012
CITATION(S):
Peery AF et al. A high-fiber diet does not protect against asymptomatic diverticulosis.Gastroenterology 2012 Feb; 142:266. (http://dx.doi.org/10.1053/j.gastro.2011.10.035)
Medline abstract(Free)
何かが、「良い」とか「悪い」・・とか。人間は、とにかく、身の回りの現象(健康とか病気についても)に理由を欲しがる。理由があるから結論があると思っている。結論が目に見えるから、原因も目に見える(現代の科学技術で解明できる)と思っている(「理由無き反抗」は気持ち悪い。気持ち悪いから印象に残る。このタイトルし凄い!関係ないけど)。
でも、結果があっても、原因が究明できない事なんて、いっぱいあるんだよね。
そんな中で、人間は、「見たいものしか、見えない」「見たいものを、見る」。カエサルも言ってるようにね。
経験的に、なんとなく、、、思い込んでいた事が、「えっ!?お前も、そう思ってた(感じてた)?」「やっぱりねぇ、そうなんだよねぇ・・・」、、、、「真実じゃないの?」、、、、「これが、真実である」と。
なんとなく、“2つの桃のルール”の話に似ている。
ある村にとてもおいしい桃の取れる木があった。収穫シーズンになると村人が収穫を争って死人が出るほどだった。そのため、村長は「一人、2つまで。ルールを破ったら追放」という決まりを作った。それで争いは一切なくなった。なん世代も後になって、桃の木は、こぼれ種などから本数を増やし、2つの桃のルールを守らずとも全員にいきわたり、かつ、たくさんの余りができるまでになったが、誰も、そのルールを破らなかった。
ある時、子供が大人に向かって、「これだけ、桃がたくさんなっているのに、どうして、一人2つしかダメなの?」と尋ねたところ、「昔からそうだからさ。それを破ると死人が出るんだそうだ。そんなことはゴメンだ」。
と。
放射線やコレステロールに限らず、「なんか、悪い!」なんてのは、こんな感じでコンセンサスが形成されたんだろうね。コンセンサスが形成されたら、後は、、、エビデンスだって同じ事。見たい事が見えるようにプロトコルを組む。この際、二重盲検に意味は無い。
話は、突然、飛ぶんだけれど、実は、この“2つの桃のルール”ともう一つの寓話は、学生相手に、初日にレクチャーする為の資料としている。来月(5月)から、また、二名を指導する予定なのだが、私の施設のホームページから、このブログまでたどり着いた学生は、未だかつて、いない。だから、もう一つの寓話も書いちゃおう!!
それは、、、“バナナを取れない猿”って話
オリの中に5匹の猿と階段がある。階段を上がると手の届くところにバナナが吊り下げられている。猿は階段を上りバナナを取ろうとするが、階段に触れた瞬間に、“全部の”猿に冷水を浴びせるような仕組みがが備えられていた。しばらく嫌な経験を繰り返すと、ある時から、一匹の猿がバナナを取ろうと階段に向かった瞬間に、他の猿がその猿を全力で阻止し、袋叩きにするようになる。その時点(条件づけが終了)で、冷水の装置は取り除き、猿を一匹だけ入れ替える。当然、入れ替えられた猿は何も知らないので、階段の上のバナナを見つけ、取りに行こうとするが、他の4匹の猿が全力で阻止する。新しい猿は、何度か階段にアプローチするが、毎回阻止されるため最終的には階段へのアプローチをやめる。
さて、ここで、元々いた猿をもう一匹新しい猿に入れ替える。そうしたところ、同じことが起き、先に入った1匹目の新しい猿も、2匹目の新しい猿を止めにかかる。
最終的に2匹目の新しい猿は階段へのアプローチをやめる。
さにらもう一匹、もう一匹と入れ替えて、もともとの5匹が全部、新しい猿になるまで続ける。
全員が新しい猿に入れ替わった時点で、どの猿も1度も冷水を浴びされた経験はなく、何故、階段に近づいてはいけないかの、もともとの理由を知る猿はいないのにもかかわらず、階段へ近づく猿を全員で阻止する、という行動だけが残った。
文化や伝統の形成も、同じようなプロセスを辿るんだと思うよ。男系天皇なんて、まさにね。前回は、おチャらけたけど、わかってるから、おチャらけちゃうんだよね。